東京メトロ丸ノ内線で約40年使われた後、海を渡ってアルゼンチンの地下鉄となった「赤い電車」4両が、日本に里帰りした。27日、報道公開された。昔ながらの機械式の車両。今後は、メトロの若い社員が電車の仕組みを学ぶ素材として活用するという。「第3の人生」が始まった。
丸ノ内線開業から3年後の1957年にデビューした「500形」。メトロの前身の帝都高速度交通営団の理事がロンドンに出張した際、機内で買ったたばこの缶の赤色を気に入り、真っ赤な車体に銀の波が描かれたデザインになった。96年に引退するまで丸ノ内線の顔として親しまれた。
テツの広場
新型車両への切り替えで引退が決まったものの、まだ十分走行できると考えたメトロが、鉄道雑誌に譲渡広告を出した。アルゼンチンのブエノスアイレスに支社を持つ貿易会社から「現地の地下鉄が状態の良い中古車両を探している」と情報が寄せられ、交渉の末、131両を譲った。
里帰りすることになったのは、電車の電子化が背景にある。速度制御などでコンピューター管理が進み、「どうやって動き、どうとまるのか」も分かりにくい。メトロでは特に若手社員向けに、電車の基本的な構造を学び、補修などの技術が失われないよう継承を進める必要が出ていた。大部分が機械的な構造で動き、海外で走り続ける500形に白羽の矢が立った。
買い戻した4両が昨年7月、船…