高円宮憲仁さま
突然の心停止から命を救うため心臓に電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)。一般に広がる契機の一つに、高円宮憲仁(のりひと)さまが15年前にスカッシュの練習中に倒れ、47歳で急逝したことがある。高円宮さまが生前に作った曲は今、AED普及のシンボルとしても歌われている。
曲の名は「君の瞳」。宮内庁によると、高円宮さまが学習院中等科のころに作詞作曲した。生前、友人で歌手の青木まり子さん(64)に送り、歌ってもらいたいと伝えていた。
作詞者・作曲者として記されている名は「柊(ひいらぎ)」。高円宮さまのお印(しるし)(皇族が身の回りの持ち物などに目印として用いられる印)から妃殿下の久子さまの提案で付けられた。
高円宮さまが亡くなったのは2002年11月21日。スカッシュ中に心室細動を起こした。当時、AEDの使用は医師や救急救命士らに限られていたが、これを一つの契機に、04年7月から一般の人が使えるようになった。
♪涙をふいて笑ってごらん もうすぐ夜が明けるから
青木さんは自身のライブなどで「君の瞳」を歌ってきた。12年に心肺蘇生やAEDの普及を目的としたメッセージビデオが公開され、この曲がテーマソングとして各地の講習会などで流されるようになった。昨年7月にはAEDを普及促進する「日本AED財団」が設立された。今年4月、名誉総裁に妃殿下の久子さまが就任した。
青木さんは「殿下からお預かりした曲をしっかりと歌っていくことで、救命やAEDの普及に少しでもお力になれれば」と話す。(島康彦)