自民党会合で示された教育無償化をめぐる憲法26条改正のイメージ
自民党憲法改正推進本部は28日、大学など高等教育の教育無償化について党改憲原案に「無償」の文言を明記しない方針を固めた。無償化にこだわる日本維新の会に配慮し、維新の改憲原案の表現を盛り込んだ。ただ、公明党は改憲による無償化に否定的で、発議は簡単ではない。
教育の「無償」明記せず 自民、改憲原案集約へ
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会合では、推進本部の役員が「たたき台」を提示した。等しく教育を受ける権利を記した26条1項に「経済的理由によって教育を受ける機会を奪われない」との文言を追加する▽国に教育環境を整備するよう努力義務を課す3項を新設する▽私学助成に違憲の疑いを生じさせている89条を改正する――という内容で、「無償」の文言は盛り込まれなかった。
自民は衆院選の公約で、自衛隊明記案などと並ぶ改憲4項目の一つに「教育の無償化・充実強化」と明記したが、この日の会合では「公約は全面無償化ではなく、真に必要な家庭の子弟の無償化だった」といった、たたき台を肯定する意見が相次ぎ、反対意見は出なかった。推進本部はたたき台に沿って党の改憲原案を作成する方針だ。
高等教育の「無償」を憲法に盛り込むことに慎重論が強いのは、巨額の財源の手当てが必要となることに加え、進学せずに就職した人との公平性の問題や、進学者が増え過ぎることによる教育の質の低下への懸念からだ。また、憲法に明記しながら無償にならなければ、違憲訴訟を起こされるリスクが生じることを指摘する声もある。(岩尾真宏)
■維新案取り込…