那覇市で酒気を帯びて運転し、衝突事故で男性を死なせたとして米兵が逮捕された事件に対し、沖縄県議会は28日、抗議決議と意見書を全会一致で可決した。海兵隊の早期の国外・県外移転のほか、事件事故が起きた際に米軍司令官や上司の更迭を求めるという異例の内容となった。
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決議と意見書は、今回の事故について「県民の尊い命が失われたことは極めて遺憾」と強く非難。米軍が絡む事件、事故が繰り返されていることに「米軍における綱紀粛正や再発防止の取り組みは、もはや機能していないと言わざるを得ない」と強い不信感を表した。
その上で海兵隊移転や上司の更迭のほか、遺族への謝罪や補償、日米地位協定の抜本改定、日米両政府と沖縄県の3者による対策協議会の設置も求めた。決議と意見書は近く、両政府と米軍に送る。
今回の決議では、翁長雄志(おながたけし)知事を支える社民、共産などの県政与党が在沖米海兵隊の「撤退」を盛り込むよう主張したが、県政野党の自民は、日本からの全面撤退までは求められないと難色を示した。一時、与野党がそれぞれ別案を出すことも検討されたが、中立会派の公明が「県外、国外への移転」という表現を提案し、最終的に両者が歩み寄った。
米兵の上司にも部下の責任を負わせるとの要求は、「これまでのような抗議では実効性がない」と自民が提案した。(山下龍一)