「『いいね』は一種の通貨です」と話すはあちゅうさん
今年の「新語・流行語」の年間大賞に「インスタ映え」が選ばれた。多少ウソでも、中身を盛っても「いいね」が欲しい――。この空気はなぜ生まれ、どこまで広がっていくのか。
ネットの方がよりリアル ブロガー・作家 はあちゅうさん
ソーシャルメディアは2004年から始めて、今はインスタグラムやツイッター、フェイスブックなど11のサービスを使っています。
インスタだけで6アカウント。メインのほかに、私の著作についての読者の感想のリポスト(再投稿)など、用途によって使い分けています。
「いいね」は現金と似た価値を持ってきていると思います。実際に、個人のネット上の影響力を現金換算するサービスも出てきました。各分野の専門家の面会時間の価値を金額で示す「タイムバンク」では、私が86歳になるまでの時間の総額が2千億円を超え、ランキング1位になったこともあります。
社会的なステータスを測る時、これまではリアルの肩書や実績だったのが、今はネットの評価も加味した総合得点になっていると思います。インスタグラムやツイッターのフォロワー数などは、わかりやすく可視化された人気度の指標です。逆にリアルの世界の評価は可視化されづらい。
「いいね」集めに熱中することに批判があるのは知っています。ネットでだけ充実しているように見せかける「幸せ偽装だ」と。あるいは「ネットよりリアルで頑張る方が大事なんだ」と。
若い人たちには、ネットがリア…