のぞみ34号のトラブルの経緯
最高時速300キロで走る新幹線の台車に亀裂が見つかった。放置して走り続ければ脱線など大事故につながりかねない。原因は何なのか。国の運輸安全委員会は新幹線で初めての重大インシデントとして調査を始めた。安全が売りだった「日本ブランド」。信頼失墜を憂える声も漏れる。
特集:テツの広場
異臭・異音の中、3時間運転
「名古屋から先に向かわれるお客様は後続にお乗り換え下さい」。11日午後4時53分、名古屋駅に到着したのぞみ34号の乗客約1千人は次々に列車を降りた。ホームには人があふれ、駅員は対応や案内に追われた。電光掲示板は消え、行き先は「東京」から「回送」になった。
JR西日本によると、車両は午後1時33分に博多駅を出発。最初の停車駅の小倉駅を出た午後1時50分ごろに乗務員が異臭に気づいた後、さらに岡山駅を過ぎて「うなり音」が確認され、乗客からも異臭の訴えがあったという。
異変が生じた後、名古屋駅での点検で、台車の亀裂やモーターの回転を車輪に伝える「継手(つぎて)」と呼ばれる部品が焦げたように変色しているのが確認されるまで約3時間。岡山駅では保守担当の社員3人が乗り込み、異音も確認していたが、のぞみ34号は重大事故に発展する恐れを抱えながら東京駅を目指していた。(吉野慶祐)
■全車両を緊…