東芝は18日、経営破綻(はたん)した米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の関連資産の譲渡先が決まったと発表した。債権を米投資ファンドのバウポストグループに売るのに加え、株式をカナダ系投資ファンドのブルックフィールドグループに売却。これにより株主資本が4100億円ほど改善され、債務超過の解消がほぼ確実になった。
債権は今月中、株式は3月末までにそれぞれ売却手続きが終わる予定。債権は9121億円(80億7200万ドル)分を持つが、売却価格は2441億円で、税引き後の売却益は約1700億円。あわせて米原発事業の損失額も大部分が確定されるため、税負担も約2400億円減る。株式の売却価格は113円(1ドル)で、売却先のブルックフィールドは今月になってWHの再建スポンサーに固まり、約5200億円を投じると表明していた。
昨年11月に公表した今年3月末時点の債務超過額の見通しは7500億円。昨年12月に実施した約6千億円の増資と、今回の資本改善をあわせれば債務超過が解消され、単純計算で株主資本は2600億円のプラスに転じる。さらに、WHの資金管理会社をバウポストグループに113億円で売ることでも合意し、資本を積み増せる見込みだ。
東芝は3月末までに債務超過を解消できないと、東京証券取引所のルールで上場廃止になって再建が厳しくなる。当初は半導体子会社「東芝メモリ」の売却益で解消する計画だったが、売却先の決定が遅れ、3月末までに売却手続きが終わらない可能性が浮上。そのため、増資と税負担の軽減などを組み合わせて解消する計画に切り替えていた。