エフゲニア・メドベージェワ=昨年11月、大阪市、白井伸洋撮影
氷点下のスタジアムが色とりどりの光で彩られ、音楽と歓声が響き渡った。9日夜、開幕した平昌冬季五輪。南北に分断された朝鮮半島の選手団は、肩を並べて行進した。民族紛争やドーピング問題を乗り越え、晴れの舞台に立つ選手もいる。4年に1度の雪と氷の祭典で、92カ国・地域のアスリートが技を競う。
特集:平昌オリンピック
SPIN THE DREAM 羽生結弦
ロシア、国旗なき入場
五輪旗を先頭に、ロシアの選手たちは入場した。
「五輪は私の夢です。みんな自分の才能を使うチャンスがあったはずです。私にもチャンスを下さい」
昨年12月、組織的なドーピング問題でロシアの国としての参加を禁じた国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、18歳のエフゲニア・メドベージェワが訴えた。
フィギュアスケートの世界選手権女子2連覇中の「女王」。3歳で競技を始め、モスクワの五輪選手養成校に入って週6日、練習に打ち込んだ。学校に行くのは週に1日。リンクで個人授業を受けることもあった。普通の学生のように同級生の友だちはできなかった。「趣味は職業(のフィギュア)」と言い切る。
アニメ好きで、アイスショーでは「美少女戦士セーラームーン」のヒロインのコスプレをした。氷上では自信にあふれるが「普段は引っ込み思案で怖がり」。昨秋以降は五輪に関する質問を避けてきた。そんな少女が、IOC理事会で初出場に向けて秘めた熱意をほとばしらせた。
望んでいた国を代表しての出場はかなわず、個人参加となった。それでもいまは「受け入れている」(ロシアフィギュア連盟幹部)という。試練の先に、追い続けた夢の舞台が待っている。(後藤太輔、高浜行人)(後藤太輔、高浜行人)
■南北合同、困惑と…