「黒い商店街」ののぼりを持つ河野竜宏さん。商店街には地元郵便局が黒く塗り直したポストもある=愛媛県八幡浜市
黒で商店街おこし 新町商店街(愛媛県八幡浜市)
宇和海に面した海運の中心地として栄え、かつては「伊予の大阪」と言われた愛媛県八幡浜市。商店街では近年、シャッターを閉じた店が目立つ。この地で呉服店を営む河野竜宏さん(47)たちは昨年1月、周りの店舗を巻き込んで「黒い商店街」と名乗り始めた。黒いまんじゅう、黒い握りずし、黒いせっけん……。様々な店に「黒い商品」があり、郵便局も呼応して黒い郵便ポストが現れた。
八幡浜港近くの中心街には新町、銀座、大黒町、千代田町の4商店街がある。市によると、昨年8月末現在で店舗計約250店のうち約4割の100店がシャッターを下ろしたまま。新町商店街の組合で事業委員長を務める河野さんの耳には、商店街を見た県外の人が「きょうは一斉の定休日ですか?」とつぶやいていたのが残っている。
転機は約2年前。近くに市内唯一の温泉施設「八幡浜黒湯温泉みなと湯」ができた。黒っぽい「モール泉」が出る。「温泉には温泉街のにぎわいが伴う。道後温泉のように連携して商店街を盛り上げたい」と河野さん。京都府の商店街が「激辛」を掲げていると知り、温泉の「黒」を統一したテーマでまちおこしをしようと考えた。
商店街では、黒い商品がある店舗を一覧する「ブラックリスト」を作った。本来は「要注意人物・団体の一覧表」の意味だ。先輩から反対もあったが踏み切った。
ある飲食店では、ご当地麺の「八幡浜ちゃんぽん」のスープが黒い。イカスミを使った。女性経営者は「インパクトが大切ね。目玉商品になった。市外からもお客さんが来てくれ、商店街に活気が生まれている」と喜ぶ。
河野さんは呉服店の3代目。大…