自民党厚生労働部会は29日、安倍政権が今国会の目玉法案と位置づける働き方改革関連法案を了承した。政府は与党内の手続きを経て、4月上旬にも法案を閣議決定し、今国会での成立を目指す。
政府は当初、2月中の閣議決定を目指していたが、法案の根拠となる労働時間の不適切データ問題を受けて裁量労働制への疑念が深まり、裁量労働制の対象拡大を法案から全面削除する事態に追い込まれた。
野党は調査データの不備を結束して追及。労働時間のデータに「異常値」が相次いで見つかり、厚生労働省は対応に追われた。さらに、残業時間の罰則付き上限規制の対象から中小企業を外すよう求める声が自民党内から出て意見集約が難航。中小企業の実態に配慮した助言・指導をするとの付則を労働基準法改正案に加え、ようやく了承にこぎつけた。
法案は、残業時間の上限規制と、非正社員の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」が柱だが、年収の高い人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の導入も盛り込む。裁量労働制の対象拡大は削除したが、政権はなお高プロの新設を目指している。野党は労働時間規制を完全に外す高プロを「スーパー裁量労働制」と呼んで批判を強めており、後半国会の審議で与野党の対立が激化しそうだ。(村上晃一)