物流大手「日本通運」で有期の雇用契約で働いていた元女性従業員(40)が、無期の雇用契約への転換を希望できる時期の直前に雇用を打ち切られたのは不当だとして、同社に従業員としての地位確認などを求める訴訟を2日、東京地裁に起こした。女性は「無期契約への転換逃れだ」と主張している。
改正労働契約法では、2013年4月以降に結ばれた有期の雇用契約を対象に、契約期間が通算5年を超えると無期契約を希望できる「5年ルール」が導入されており、今月から一部労働者の契約切り替えが始まっている。法改正は、企業による有期契約の乱用を抑制し、労働者の雇用安定が目的とされていた。
訴状によると、女性は12年6月に有期契約を締結。5年ルールの適用対象となる13年7月以降、ほぼ1年に1回、計6度にわたって契約を更新していた。次の更新で「通算5年」を超える可能性があったが、3月末で雇用を打ち切られたという。女性が交わした15年6月以降の契約書には、5年ルールが当てはまる場合は、契約を更新しないことなどが記載されていたという。
提訴後に記者会見した女性によると、無期の契約を認められた同僚もいるという。女性の代理人は「同じような立場の人が全国にたくさんいると思う」と述べた。
日本通運広報部は「訴状が届いておらず、具体的な内容を認識していない。現時点でコメントできることはない」としている。(北沢拓也)