講演する小泉純一郎元首相=水戸市千波町
小泉純一郎元首相が14日、水戸市千波町の県民文化センターで講演した。原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場がないことなどを理由に、「原発ゼロ」を主張。講演後は「(東海第二原発の)再稼働なんかとんでもない」とし、廃炉にすべきだと訴えた。
「(首相在任中は)原発は必要だと言っていた」と明かした小泉氏。2011年の東京電力福島第一原発の事故後、専門書を読み、考えが変わったという。事故から7年経っても帰還困難区域が残る福島の現状に触れ、「人体にも環境にも、絶対に事故を起こしていけないのは原発」と指摘。太陽光など自然再生エネルギーへの転換を訴えた。
使用済み核燃料から出る「核のごみ」の最終処分場の問題も挙げた。自ら視察したフィンランドの施設を紹介し、処理の難しさを強調した。
講演後は、報道陣の取材に応じた。今年11月、運転40年を迎える日本原子力発電の東海第二原発について、「再稼働なんかとんでもない。稼働すればゴミが出る。処分場がないのに、なんで再稼働するか分からない」と語った。
東海第二の再稼働をめぐっては、先月、新しい安全協定が結ばれ、原発のある東海村に加えて周辺5市の事前了解も得るとした。小泉氏は「当然だと思う。(避難計画の策定の)義務のある地域のトップに原発会社は説明していない。これはおかしい」と話した。
海野徹・那珂市長や五十嵐立青・つくば市長らが呼びかけ人となった講演会。海野市長は冒頭、「市民の命を、地域を守るために、原発は極めて危険な要因と考えるに至った。小泉氏が原発ゼロと自然再生エネルギーの推進を訴えていることには大いに共感できる」と語った。(比留間陽介)