ソフトウェア会社「サイボウズ」(東京)の青野慶久社長(46)ら4人が、選択的夫婦別姓を認めない現行の法制度で不利益を被ったとして、国に計220万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が16日、東京地裁であった。国側は請求の棄却を求めた。
夫婦別姓「選べないのは違憲」 サイボウズ社長ら国提訴
青野さんはこの日の意見陳述で、「名字を変えなければならない法制度は、戸籍名と旧姓の使い分けを全国で発生させ、経済的損失を招いている。精神的苦痛も生んでいる」と述べた。
夫婦別姓については、最高裁が2015年、夫婦別姓を定めた民法の規定を「合憲」と判断。その理由について「社会に定着した制度」とした。
今回の訴訟で結婚後も旧姓を名乗る青野さんと別の男性、事実婚の男女の計4人は戸籍法に着目。日本人と外国人との結婚では別姓を名乗ることができるのに、日本人同士では別の姓を選べないのは憲法違反だとし、「結婚後も旧姓を認める規定を戸籍法に加えればよい」と主張している。
ただ、夫婦同姓を定めた民法の規定が変わらなければ、結婚の際にどちらかの姓を選ぶ現状は変わらない可能性が高い。(北沢拓也)