船橋駅コンコースの「さざんかさっちゃん」像=千葉県船橋市、山本裕之撮影
船橋駅(千葉県船橋市)のコンコースに、東武アーバンパークライン(野田線)から無数の乗客があふれ出る。船橋から大宮(さいたま市)まで首都圏北東部のベッドタウン35駅をつなぐ同線。朝の船橋駅で降りた客のほとんどは、コンコースを経由し、東京に向かうJR線に吸いこまれていく。
そのコンコースに、足早に過ぎる人々を静かに見つめる銅像がある。帽子をかぶった女の子「さざんかさっちゃん」が、少女に抱かれている。建立は1980年。地元在住の漫画家が描いたキャラクターをとり入れて、地元の彫塑(ちょうそ)家と石工が制作した。費用は駅ビルに入る東武百貨店が負担した。サザンカは船橋市の木だ。
設置者は「さざんか募金運動推進協議会」。船橋青年会議所の創立10周年を記念して始まった募金運動で、寄付金をもとに基金を設け、毎年、母子、父子家庭の高校生約30人に、10万8千円の奨学金を支給してきた。
さっちゃん像には寄付金の投入口がある。現会長の金子武文さん(68)によると建立から昨年3月までに約672万円集まった。が、最近は集まりが悪い。低金利もあいまって基金の取り崩しが続き、残高は現在3300万円余。「善意と熱意で運営されてきた運動。ずっと続けていきたいのですが」
長年、運動を引っ張ってきた初…