スキー距離女子12キロ座位の表彰式で銀メダルを掲げて笑顔を見せるドイツのアンドレア・エスカウ=11日午後、平昌オリンピックプラザ、加藤諒撮影
46歳のドイツの鉄人が、パラリンピックで夏冬合わせて10個目のメダルを獲得した。スキー距離・女子座位のアンドレア・エスカウ。「とてつもなく幸せ」。ゴール後、両手に持つストックを突き上げた。
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前日に続く今大会2レース目は、女子座位で最も長い12キロ。「私はただの年寄り。周りは子どもといってもいい年齢の人ばかりだし」と大会前に残した控えめな言葉がうそのように、始めからエンジン全開だった。前半はトップを走った。後半に21歳下のケンドール・グレッチ(米)にかわされたが、2位。「銀メダルでも幸せ。本当にタフなレースだったから」
頭は短く刈り込んでいる。旧東ドイツ出身で職業は心理学者。1998年、学校に自転車で向かう途中に事故に遭って脊髄(せきずい)を損傷した。車いすでも大好きなスポーツは諦めなかった。
F1で王者になり、世界3大レースのインディアナポリス500マイル(インディ500)も制したマリオ・アンドレッティの言葉、「物事が落ち着いて見えるなら、それはスピードが足りないだけだ」が座右の銘。自身は夏のハンドバイクだけでなく、冬にはシットスキーにも挑んだ。2008年北京大会から今大会まで夏冬の6大会でメダルを獲得。金は夏で4個、冬で2個を数える。
「平昌に向けて、今季は1500時間のトレーニングを積んできた」という。バイアスロンと合わせて残り4種目。止まることなく、また次のメダルを狙っている。(菅沼遼)