セ大阪退団前のホーム最終戦を終え、サポーターに手を振るクルピ監督=2013年11月30日
今季初めてJ1ガ大阪とセ大阪が対戦する「大阪ダービー」が21日、パナソニックスタジアム吹田である。ガ大阪は現在1勝6敗1分けでリーグ最下位。3位のセ大阪とは対照的に苦しい立場だ。古巣との初対決となるクルピ監督のもと、必勝が求められる一戦となる。
ガ大阪がこれほど苦しい状況に置かれたダービーは初めてだ。両者の歴史を振り返れば、ガ大阪がセ大阪を長い間リードしていた。1993年のJ創設から参加したガ大阪に対し、セ大阪は95年に加盟。2000年代に入ると、ガ大阪がタイトルを重ね、強豪と呼ばれるようになった。J1での対戦を見てもガ大阪が20勝9敗5分けと圧倒している。潮目が大きく変わったのは昨年だ。セ大阪がJ2からJ1に復帰したシーズンで2冠を達成。無冠に終わったガ大阪を上回った。
今季もその流れが続く。クルピ監督が就任したガ大阪は開幕3連敗でスタート。14日には昇格組の長崎に0―3で完敗した。J2に降格した12年の悪夢がよみがえる大不振に陥っている。一方のセ大阪は好調。リーグ戦4連勝で順位を上げてきた。
ガ大阪にとっては厳しい戦いが予想されるが、DF藤春は「ここで勝てば流れは変わる。いいタイミングととらえたい」。古巣との対決にもなるMF倉田は「勝てば自信を持てる。死ぬ気で戦いたい」と決意を込める。GK東口は「順位や調子は関係ない。大阪の代表としてどっちがやっていくかのぶつかり合い。いつも以上の力が出るはず」。
一方、セ大阪の中心選手は、かつてクルピ監督に鍛えられた選手たちが多いだけに特別な感情がある。若い頃から多くの出場機会を与えられて成長したMF清武は「対戦するのは不思議な感じ。勝負事なので、負けることはできない。しっかり準備して臨みたい」と意気込む。遅刻を繰り返すなど素行が悪かったFW柿谷はJ2徳島に移籍させられたこともあった。「色んなことを教わって、色んなぶつかり方をして、個人的にも思い出深い監督。レビー(クルピ監督)にも『あいつ、すごいな』って思ってもらいたい。今までとは少し違ったダービーになる」
クルピ監督にとっても教え子との再会は特別だ。「試合前にハグはするだろうが、試合中はヘトヘトになってシュートをバンバン外してほしい」と笑う。ただこの一戦にかける思いは強い。「セレッソ(セ大阪)の方がいい状態だが、ダービーはダービー。何が起こるか分からない。(勢いに乗る)大きなチャンスだ」
注目の一戦のチケットはすでに完売した。21日午後7時にキックオフする。(岩佐友、大西史恭)