楽天の嶋基宏
(20日・プロ野球 楽天5―2オリックス)
「なかなかできなかったけど、このホームで、連勝を伸ばしたい」。試合を決める一打を放った楽天の嶋は、今季初のお立ち台で高らかに宣言した。苦境にあえぐチームに今季最初の連勝をもたらした主将を、大歓声が包んだ。
1点を追う六回。2死走者なしから2連打と四球で塁が埋まると、押し出し四球で同点に。ここで打席に立った嶋は「あの場面で内角、内角はない。外のボールを頭に入れていた」。死球で押し出しの恐れのある内角は投げづらい――。捕手らしい読みで、外角のスライダーにバットを合わせ右中間へ。走者一掃の勝ち越し二塁打とした。
最下位に沈むチームは、打力重視の選手起用が増えつつある。捕手も例外ではなく、打力が売りの若い山下が2試合連続で使われるなど、前日までの6試合で嶋が先発マスクをかぶったのはわずか2試合だった。
打率が2割に満たないほどの不調は、リードにも影響する。この日は二回2死一塁で見逃し三振に倒れ「気持ちを切り替えられないまま(三回の守備に)入ってしまった」。則本をもり立てきれず、2死三塁からの4連打で2点を先取された。
エースに黒星が付きかねなかった状況を、後悔の残るリードを、8日ぶりの適時打で振り払ってみせた。「悔しい思いをなくしてしまったら終わり。挽回(ばんかい)するにはチームも勝って、自分も活躍しないと」。これでこそ、チームの要だ。(松沢憲司)