「おねだり」
日曜に想う
平成を回顧する企画の取材で官界と政界の長老2人に話が聞けた。経験と知恵の塊のような2人の話はまさに目からうろこの連続で、久方ぶりに大興奮した。
何より、お元気だった。官房副長官として竹下登から村山富市まで7代の首相に仕えた石原信雄氏(91)は、資料も見ずに数々の政権の意思決定過程をつぶさに再現してみせ、今日の「一強」政権下の諸問題を語り納めて気が付けば予定の1時間でちょうどきっちりと話が完結したのには驚かされた。政権交代があろうとも歴代の首相が手放せなかった理由の一端を垣間見た気がした。
新党さきがけの結成以来常に保守再編に悪戦苦闘してきた自民党の園田博之衆院議員(76)は、退院直後と聞いていたが、今昔の政局と新旧の政治家を論じ再編の理想のありかと蹉跌(さてつ)の実相を包み隠さずに証言し、保守二大勢力の創出にはやはり自民党が割れるしかないとさらに未来を語るうち、みるみるほおに生色はみなぎり声に張りが出たのはあれは一体どうしたことだったのだろう。
歩み来た道への自信か、後世にメッセージを残すとの執念か、あるいは公に奉仕する人生とはこういうことなのか。
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それにしても、含蓄と滋味に富む2人の言葉は、極論と決め付けに走りがちな今日の政治言論と著しい対照を成す。
石原氏において顕著なのは絶妙…