前半、ドリブルするフランスのエムバペ⑩=関田航撮影
(16日、フランス2―1豪州 サッカー・ワールドカップ)
「若さ」がもたらす、もろさと勢い。両方の顔をフランスがみせた。
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10番を背負う19歳のエムバペに、21歳のFWデンベレや22歳のDFエルナンデスが並ぶ先発の平均年齢は24・18歳。欧州のトップリーグで活躍するスター候補たちも、初戦の硬さはあった。デシャン監督はいう。「スピードが足りず、攻守の切り替えもスムーズでなかった」
試合運びはつたなかった。豪州の守りに苦しんだ末、後半13分にPKで先制した直後だ。FKで放り込まれたクロスボールを、24歳のDFウンティティが振り上げた右手で触った。お粗末すぎるハンドでPKを取られ、追いつかれた。
ただ、そこからの反発力もまた若さゆえの魅力。同36分、25歳のポグバがワンツーで中央を突破した。最後は伸ばしたつま先に球を当て、これがループシュートに。バーに当たって、ゴールラインをギリギリで割った。勢いが、決勝点を手繰り寄せた。
1998年フランス大会で初優勝したときも、ジダン、アンリら若きスターを擁した。ルーツや人種も異なる面々が、結束して頂点へ駆け上がった姿は、多民族の統合の象徴とされた。
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今大会の若き「レ・ブルー」(フランス代表の愛称)は、その再現なるか。期待されるのは、当時の主将だったデシャン監督が率いるから、というだけではない。
試合中、痛恨のミスをしたウンティティが失点後に謝るしぐさをみせた。そこへMFカンテ、DFバランが駆け寄って鼓舞。エースのFWグリーズマンはいう。「最も重要なことは、初戦で結束して戦い、勝てたことだ」
エゴを出して崩壊するほど、青臭くはなさそうだ。褒められぬ内容の辛勝。しかし結束を強くする試練だったなら、次につながる。(藤木健)