国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)の小和田恒判事の辞任に伴う補欠選挙(欠員1)が22日(日本時間同日深夜)、国連総会と安全保障理事会で行われ、唯一立候補していた東京大教授の岩沢雄司氏(64)=自由権規約委員会委員長=が当選した。任期は、小和田判事の任期の残りで、2021年2月5日まで。
安保理(15カ国)では全会一致の15票、総会(193カ国)では圧倒的多数の184票を得た。岩沢氏は当選後、「国際社会の情勢が複雑化する中、国際法の重要性、国際紛争の平和的解決機関としての裁判所の役割が高まっている。国際社会における法の支配の促進は私の信念であり、日本と世界の利益になる。法の支配の促進に全力で取り組みたい」と抱負を語った。
岩沢氏は国際法学者としての見識と、実務家としての国際的な実績が評価された。国際法学会代表理事を務めており、実務面ではアジア開発銀行行政裁判所裁判官などを歴任した。
ICJは国連の主要な司法機関で、判決や勧告的意見は権威ある司法的な見解として尊重される。異なる国籍の裁判官15人(任期9年)で構成され、3年ごとに5人ずつ改選される。独立した立場で出身国などの指示を受けてはならない。
日本からは田中耕太郎氏(1961~70年)、小田滋氏(76~03年)、小和田氏(03~18年)に続き4人目。76年以降、途切れずに判事を出しているのは、安保理の常任理事国5カ国を除くと日本だけという。
ICJへの紛争の付託には原則として当事国の合意が必要。竹島の帰属をめぐる日韓の対立では、日本は韓国にICJ付託を提案してきたが、韓国の同意が得られず実現していない。(ニューヨーク=金成隆一)