米大統領選で共和党の候補者指名獲得を確実にしているトランプ氏が、連邦地裁の判事が「メキシコ系である」ことを理由に自分の訴訟から外れるべきだと主張し、批判を浴びている。トランプ氏の人種差別的な言動はこれまでにもあったが、政治家がこうした形で裁判官を批判するのは異例で、共和党の中からも異論が出ている。
特集:米大統領選2016
【タイムライン】米大統領選
トランプ氏が批判しているのは、「トランプ大学」をめぐる訴訟を担当しているカリフォルニア州の連邦地裁のゴンザロ・クリエル判事。判事が自分に不利な判断をしているとして、5月末の演説では「私を憎んでいる」と発言。6月2日のウォールストリート・ジャーナルのインタビューでは、自らが「メキシコ国境に壁を建設する」という公約を掲げているため、メキシコ系のクリエル氏が訴訟を担当するのは利害の対立につながると主張した。
クリエル氏は父親がメキシコからの移民だが、本人はインディアナ州出身の米国人。トランプ氏は3日、CNNのインタビューで「発言が人種差別ではないか」と問われても否定し、「我々は壁を建設している。彼はメキシカンだ」と同じ主張を繰り返した。
この発言について、2日にトランプ氏への支持を打ち出したばかりの共和党のライアン下院議長は、3日のラジオインタビューで「論理に同意できない。私はその考え方に完全に反対する」と批判。上院のマコネル院内総務も2日にCNNで、トランプ氏がヒスパニックの有権者を将来にわたって共和党から離れさせるのではないか、と懸念を示した。(ダラス=中井大助)