判決の原本が未完成のまま判決を言い渡していたとして、岐阜地裁は13日、同地裁の山崎秀尚判事(58)の懲戒を求める申し立てを名古屋高裁にした。
岐阜地裁によると、山崎判事は名古屋地裁岡崎支部に在任中だった昨年4月17日~今年3月30日の間、36件の民事訴訟で、判決の原本が完成していない状態で判決を言い渡していた。民事訴訟法の「判決の言い渡しは、判決書の原本に基づいてする」との規定に違反するという。
山崎判事は岐阜地裁の調べに対し、判決言い渡しの時点で草稿のようなものはあったと説明しているといい、「事件処理に追われ、やむなく行ってしまった」と話しているという。判決言い渡しの際、判決原本を確認する立場の担当書記官は「原本がないことは認識していたが、対応に苦慮し、原本があったかのように記録に記載してしまった」と話しているという。
今年4月、名古屋地裁が控訴事件の記録を点検した際、判決言い渡しの期日から当事者への判決正本の送達まで通常より時間がかかっていたことが分かり、発覚した。岐阜地裁は、控訴や上告をされた事件を除いて「再審事由に当たるものはないと思われる」としている。名古屋地裁は事件の当事者らに連絡を取り、謝罪しているという。
山崎判事は4月、岐阜地裁多治見支部に異動。その後、5月16日付で岐阜地裁に異動になり、破産事件などを担当している。岐阜地裁の田村真所長は「法を順守すべき裁判官が法律に基づかない手続きを行ったことは誠に遺憾であり、再発防止に努めたい」との談話を出した。