東海大星翔が優勝し、3週間にわたる今年の夏の高校野球熊本大会は幕を閉じた。61チームの熱戦を振り返る。
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快晴の開会式から一転、大会序盤は雨で3日間にわたり試合が順延された。優勝候補の大本命不在の今大会、第1シード文徳や第2シード九州学院が初戦で敗れる波乱の様相を呈した。シード校8校中、4強に残ったのは球磨工のみ。昨秋や春の大会で負けてきたチームが悔しさをバネに練習を積み、成長してきた成果が表れた。
大混戦の中、目立ったのは公立校の活躍だ。16強のうち10校が公立校で、8強も5校が公立。4強入りした必由館は逆転勝ちや接戦をものにして勢いに乗った。初の4強入りとなった球磨工はエース柴尾優心(3年)ら投手陣の活躍で準々決勝まで2失点に抑えるなど堅い守りで勝ち上がった。
コールドゲームの多さも目立った。60試合中31試合。熊本工が準決勝まで全てコールド勝ちで勝ち上がるなど、打撃が持ち味のチームが相手を圧倒する構図で、準決勝2試合もコールドとなった。
優勝した東海大星翔は、投手力、打撃力のいずれも光ったものを見せた。エース山下朝陽(3年)は制球良く打者を抑え、与四死球6、失点9と好投。決勝でも勝負どころをしっかり抑えて見せた。打線も好調で下位まで打率4割超えの選手が並び、4番竹下翔梧(2年)は本塁打3本を放つなど存在感があった。35年ぶりに優勝した勢いそのままに、甲子園でも活躍を期待したい。
101回大会に向け、心配されるのがチームの減少だ。今大会を含め7年連続で16強以上の実力校多良木は今年度で閉校する。地域の人たちは「最後の夏」の応援に詰めかけ、3回戦で敗れた後は目頭を抑える姿があちこちで見られた。多良木以外にも、部員減少で来年の出場が危ぶまれる学校もある。湧心館と連合を組んだ小国は2年生以下の部員がおらず、鹿本農も2年生が1人。1、2年生で9人が集まらないチームは他にもある。今年も昨年から2チーム減だったが、少子化と野球人口の減少を受けて来年の大会でも課題となりそうだ。(杉山歩)