オウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚ら7人の死刑執行から、わずか20日。法務省は26日、6人の教団元幹部の死刑を執行した。今後の執行にも影響を与える、13人の「大量執行」の背景には何があったのか。死刑廃止を目指す日本弁護士連合会からは、国際社会との乖離(かいり)を懸念する声が出ている。
死刑確定囚13人、全員執行 オウム真理教事件
オウム暴走、三つの転機 風呂場の「事故」から始まった
「法務官僚は今後、大臣に足を向けて寝られない」
法務省のある幹部は26日、こう語った。1カ月以内に13人という、過去に例のない「大量執行」を決断した上川陽子法相は、省内で高く評価されているという。
上川氏は14年10月~15年10月にも法相を務めたが、この間に執行した死刑囚は1人で、「慎重派」と評されていた。今年1月に教団関連の裁判がすべて終了し、執行に向けた手続きを進めようとした法務官僚は説得を重ねてきた。上川氏が涙ぐんだり、周囲に体調不良を訴えたりすることもあり、法務省幹部は「気持ちが揺れ動いていたようだ」と推察する。
法務省としては、天皇の代替わりや東京五輪・パラリンピックなどの慶事を控え、「平成のうちに執行を終えたい」という思惑があった。同じ事件で確定した死刑囚の執行は同時に行うという慣例もあり、13人の執行が前提だった。
だが、最終的に選ばれたのは「…