東京都多摩市の建築中のオフィスビルで26日、男性作業員5人が死亡、約40人が負傷した火災で、ガスバーナーで鉄骨の切断作業をしていた地下3階の床の一部に隙間があったことが、捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、切断中に出た火花が隙間から落ちて階下のウレタンの断熱材に引火し、燃え広がった可能性があるとみている。
黒煙逃れた作業員「死を覚悟した」 多摩の建築現場火災
同庁は27日以降、現場検証を行い、業務上過失致死傷の疑いで防火体制に問題がなかったか調べる。
捜査関係者によると、現場は地上3階地下3階建て。地下3階の下には免震装置が設置された免震階があり、免震階の天井部分には断熱材としてウレタンが設置されていた。
出火直前、地下3階で工事用作業台の鉄骨をガスバーナーで切断する作業をしていた男性作業員2人は、切断中に火花が出て、免震階の断熱材のウレタンに引火したなどと証言しているという。地下3階には床が張られていたが、鉄骨の周囲の床には部分的に隙間があったという。警視庁は、この隙間から火花がウレタンに落ちた可能性があるとみている。
また、犠牲になった作業員5人のうち4人は、遺体の状況などから一酸化炭素中毒で死亡した可能性が高いという。今後、司法解剖して詳しく調べる。
東京消防庁によると、今回の現場は消防法に基づいて防火管理者が選定され、消防計画書が作成されていた。同庁立ち会いの下で自衛消防訓練も実施されていたという。同庁は計画書作成時の留意事項として、火花が出る作業をする際は難燃性のシートで遮るなどの措置をとるように求めている。