30日午前、大阪と京都を結ぶ京阪本線で、架線から電気を受け取るパンタグラフが破損し、2度にわたって計約3時間、鴨東線と中之島線を含む全線の運転を見合わせた。駅間で止まった2本の電車の乗客計1700人が約2時間、車内に閉じ込められ、うち8人が体調不良で病院に搬送された。朝のラッシュ時と重なり、正午現在で約20万人に影響した。
京阪電鉄によると、午前7時55分ごろ、萱島駅(大阪府寝屋川市)で、同駅発淀屋橋駅行きの区間急行(7両)のパンタグラフが破損しているのが見つかった。修理のため停電して運転を見合わせ、約1時間後に再開した。
故障車両はロープでパンタグラフを固定し、車庫に向けて動き出したが、西三荘駅―門真市駅間で同じパンタグラフに異常が生じて停電。午前9時40分ごろ再び運転を見合わせた。
故障車両の乗客約100人は午前10時ごろから、線路上を約100メートル歩いて西三荘駅に退避。大阪方面に向かう別の2本の電車も門真市と大和田両駅付近で止まった。車内の冷房は午前10時ごろ復旧したが、19人が体調不良を訴え、うち8人が病院に搬送された。午前11時半ごろ、全線で運転を再開した。
京阪京橋駅の改札は遅延証明書を求める人でごった返した。午前11時20分ごろ、京都・出町柳駅に向かおうと運転再開を待っていた大阪市福島区の女性(35)は「暑いので、ベビーカーに乗せた1歳の長男が心配。1時間前には目的地に着いているはずだったのに」と困惑した様子だった。
大阪電気通信大学に通う高梨葵(あおい)さん(18)は奈良県の自宅から大学のある寝屋川市駅に向かう途中にトラブルに遭遇、京橋駅で約3時間半待たされた。「今日は定期試験の最終日。大学から中止の連絡はあったが、せっかく勉強したのに」と話した。