ミャンマーで独裁政権に反対する民主化運動が全国に広がった1988年8月8日から30年がたった。「8888」と呼ばれるこの日は、同国の民主化運動の象徴だ。人々の願いは、長く民主化運動を率いたアウンサンスーチー氏の国民民主連盟(NLD)が2年前に政権を得たことで結実した。だが民主化の進みぐあいに不満を抱く人も少なくない。
15歳の娘殺された父「過ぎるの一瞬」民主化運動30年
独裁政権の打倒を掲げた学生らは88年に運動を開始。8月8日には様々な階層が加わり、全国的な運動に発展した。だが9月、軍によって弾圧された。
30周年を迎えた8日、民主化運動の拠点だったヤンゴン大学で当時の運動家らが催しを開いた。指導者の一人だったミンコーナイン氏(55)は「まだ道半ばだ。政府が人々の声に耳を傾ければ、よりよい国をつくることができる」と述べた。
政権に就いたNLDだが少数民族和平などでは軍との協力が欠かせない。強い態度をとれないスーチー氏の姿に「民主化が後退している」との声も上がる。同じく指導者の一人だったココジー氏(56)らは2020年の総選挙に向け、NLDへの不満をすくい取る新党の結成準備を進める。
民主化運動に参加して治安部隊に射殺された少女ウィンモーウーさん(当時15)の父ウィンチュー氏(62)は朝日新聞の取材に「軍がなお影響力を持ち、民主化は半分も達成していない。天国の娘に、この国が本当に変わったと早く報告したい」と話した。(ダッカ=染田屋竜太)