米ニューヨーク市議会は8日、米ウーバー・テクノロジーズなどが営む配車サービスについて、営業台数を制限する全米の大都市で初めての条例案を可決した。渋滞緩和や働き手の待遇向上が狙いだが、ウーバーは「問題の解決にならない」と反論している。
市当局が配車サービスの影響を詳しく調査する1年間は、新たな営業許可を原則出さない。運転手に最低賃金を設けることも盛り込まれた。
米国の大都市では最大手のウーバーや米リフトなど、スマホを使った配車サービスが急速に普及している。タクシーに比べ安いことが多く、利便性も高いためで、ニューヨーク市では営業車両が8万台に達した。
ただ、渋滞を悪化させたりタクシー運転手の職を脅かしたりと、負の側面も指摘されている。ニューヨーク市では、タクシー運転手6人が相次ぎ自殺したことも、規制論を勢いづかせていた。デブラシオ市長はツイッターで「10万人以上の働き手と家族がすぐに恩恵を受け、渋滞を引き起こす車の流入も止まる」と歓迎しており、近く条例に署名して成立させる見込み。
一方、最重要の市場で総量規制を課されることになった配車業界は「数少ない信頼できる交通手段の一つが脅かされ、渋滞対策にもならない」(ウーバー)などと猛反発する。代わりに、市街地に入る車に課金するなどの方策を採るべきだと主張している。(セントルイス=江渕崇)