(12日、高校野球 二松学舎大付5-2広陵)
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「まだまだこれからだぞ」
12日の二松学舎大付(東東京)戦で、広陵(広島)は一回に2点を失ったが、広島大会決勝では3点差を追いついた経験がある。持ち前の強力打線に期待し、3千人を超える満員のアルプススタンドからは大きな声援が飛んだ。
この日、スタンドに吹奏楽部の姿はなかった。第59回広島県吹奏楽コンクールに出場するため、応援に駆けつけられなかったからだ。それでも、小野時央(ときお)君(3年)ら野球部員は「声のラッパ」を披露。「パッパッパー」と応援歌のメロディーに合わせて盛り上げ、選手を後押しした。
四回、高田桐利(きり)君(3年)の適時打で1点を返すと、五回には福光竜平君(同)の本塁打で同点に。「声張っていくぞ」。小野君のかけ声で、スタンドの熱気は最高潮に達した。
投げてはエースの森悠祐(ゆうすけ)君(同)が二回以降は立ち直り、六回まで無失点。父啓太さん(42)は「気持ちを込めたいい投球。1球1球を悔いのないように投げて」と見守っていた。
相手を上回る10安打を放ったが、惜敗。試合後、涙を流す部員もいたが、最後は「今までありがとう」と拍手で選手の健闘をたたえていた。
吹奏楽部のいないスタンドに、ツイッターでは「寂しい」「残念」という声が広がる一方、「口ラッパ応援、グッときた」「声量すごい」との書き込みもあった。
コンクールの演奏を終えた部長の風早(かざはや)ももかさん(3年)は「甲子園の応援に行けないのは残念。でも今日は自分たちのことに集中しようと思って、朝からみんなで『野球部』は禁句、と約束していました」。顧問の石原翔教諭は、「元々は部員47人全員で甲子園へ行く予定だった。野球部の応援がしたくて吹奏楽部に入ってくる子もいるくらいなので、行けないのは残念だけれど、楽しんで演奏できました」と話した。(原田悠自、土屋香乃子)