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人が病気になるのは、神仏の怒りに触れたためか、怨霊(おんりょう)の仕業か、それとも腹の中にいる虫のせいか……。古代の日本人は思い悩み、イメージを様々な絵画に残してきた。その絵は怖いのと同時に、奇妙なユーモアもはらんでいる。
日本では古くから、疫病(えきびょう)(感染症)は神の怒りによって発生すると考えられてきた。仏教の伝来後は、病気や障害を悪行への「報(むく)い」ととらえる、科学的な根拠のない迷信も広がった。
奈良時代以降、有力者の病気や疫病を起こすものとされたのが「怨霊」だ。737年に政権中枢にいた藤原家の四兄弟が相次いで天然痘で死亡したのは、謀反の疑いで自殺に追い込まれた長屋王(ながやおう)(?~729)のたたりとされた。それ以後も、皇太子を廃された早良(さわら)親王や、左遷された菅原道真ら、恨みをのんで死んでいった人々が怨霊として恐れられた。
一方で医学的な知識も日本に根…