日立製作所は22日、英国で計画する原発の建設工事で、米建設大手ベクテルの役割を見直したと正式に発表した。両社にエンジニアリング大手の日揮を加えた3社連合への発注をやめ、日立の原子力発電事業子会社ホライズンが直接建設を担う。ベクテルは中核的な立場からは外れる。
3社連合は8月中旬に解消した。日立の広報担当者は「建設を直接手がけることでコストの削減が見込める」と説明。ベクテルはホライズンと計画管理に関する契約を結び、引き続き建設ノウハウを提供する。日揮も周辺施設などの設計を担当し、関与を続ける。
ただ、工程が遅れるなどして建設費が想定よりふくらんだ場合の損失リスクは、ホライズンが一手に抱えることになる。建設工事を3社連合に発注していれば、ベクテルなどとリスクを分散できた。
日立はホライズンに対する出資を金融機関などに呼びかけており、自社の出資比率を100%から50%未満に下げることを着工の条件にしている。ホライズンの損失リスクが不安視されて、難航する出資金集めが滞れば、事業の継続が危うくなりかねない。
日立は英西部に原発2基を新設する計画。安全対策費の高騰などで総事業費は当初想定の1・5兆~2兆円から、最大3兆円程度に膨らむとされる。事業費は完成後の売電収入で回収する仕組み。英政府は原発でつくった電気の買い取り価格を保証するが、高値での保証に慎重な姿勢を示しており、建設などの事業費抑制が課題になっている。(北川慧一)