文部科学省は14日、病気やけがで長期入院や自宅療養をしている小中学生が、テレビ会議システムなどを使って学校と離れた場所で「遠隔教育」を受けた場合、「出席」扱いとすることを決めた。スムーズな復学につながると期待し、来週にも全国の教育委員会などに通知を出す。
遠隔教育は同時双方向型の通信機器を使用し、教室から離れた場所にいる子どもが教員の授業を生中継で見て、質問などもできる仕組み。文科省は2015年から本格導入し、離島や過疎地での合同授業などを想定し、学校が実施することを認めてきた。ただ、病気やけがで欠席が続く小中学生は遠隔教育を受けても出席扱いとはならず、高校受験などで不利になったり、友達との関係が希薄になったりする懸念が出ていた。
また、遠隔教育の環境整備は各地の学校で進んでおらず、教員の負担増や制度の周知不足などが理由として挙げられている。ただ、ITの進歩で最近はパソコンやタブレット、スマートフォンなどを活用した双方向通信が容易になっている。文科省は「様々な場面で効果を発揮するので、積極的に活用してほしい」としている。例えば不登校の児童生徒は現在も一定の条件を満たせば「出席」となるが、遠隔教育を使えばクラスへの参加が容易になる可能性もある。
同省の13年度調査によると、病気やけがで30日以上の長期入院をした小中学生は全国に延べ約4800人おり、在籍校は延べ約2800校に上った。(矢島大輔)