小中学生が受ける全国学力調査の結果を校長や教員の評価に反映させるとする大阪市の吉村洋文市長の意向を受け、市教委は14日、新しい評価制度を今年度内に策定すると明らかにした。新制度は2019年度の試行を経て、20年度に実施し、21年度のボーナスなどからテストの結果を反映させるという。
この日あった市の総合教育会議では、市長が市教委に制度設計をするよう求め、出席者から異論はなかった。市教委はこの要請を受けて制度設計の検討を始める。ただ会議では、「教員を志す学生が逃げる危惧もあり、減額する評価は避けてほしい」(巽樹理教育委員)▽「成績と金銭を結びつける手法は海外で例があるが、成績が上がった例も下がった例もある。制度設計が大事だ」(有識者として出席した中室牧子・慶応大准教授)などの指摘があった。
吉村市長は8月、全国学力調査で市の平均正答率が政令指定市の中で最下位であることを問題視し、教員らの人事評価とテスト結果を結びつける必要があると表明。林芳正文部科学相が「調査で把握できるのは学力の一側面であることを踏まえ、適切に検討いただきたい」と述べるなど、慎重な対応を求める声が相次いでいた。
市教委はこの日、評価手法とは別に、各小中学校ごとに来年度の全国学力調査の得点目標を立てる方針を明らかにした。(波多野陽)