京都市右京区の京都dddギャラリーで、企画展「田名網(たなあみ)敬一の現在」が開かれている。1936年生まれの田名網は60年代からグラフィックデザインやイラスト、アニメ、絵画、立体作品など幅広く活動し、「サイケデリック・アートの旗手」とも呼ばれる。ミッキーマウスやウルトラセブン、若冲なども題材にしており、現在も旺盛な創作を続ける田名網の新作展となっている。
会場に一歩足を踏み入れた途端、あふれかえる極彩色の作品の数々に目を奪われる。新作のアクリル絵画18点をはじめ、FRP(繊維強化プラスチック)製の立体や彫刻、タペストリー、アニメに出版物、CDジャケット。様々なファッションブランドとコラボレーションした靴やTシャツ、メガネ、バッグ、スマホケースまで並ぶ。
多くは空襲など田名網の戦争体験の記憶と夢から紡ぎ出された金魚や爆撃機、骸骨などがモチーフになっている。ミッキーマウスやウルトラセブン、若冲のほかベティ・ブープといったキャラクターや名画からの引用もあちこちに。それらの素材が組み合わされ、稠密(ちゅうみつ)にコラージュされる。多種多様なイメージが乱舞する作品群は、解釈や鑑賞を通り越して、直接的に見る者の感覚を刺激し、解き放つかのようだ。
10月23日まで。日曜・祝日休館。入場無料。ギャラリー(075・871・1480)。(池田洋一郎)