(悩みのるつぼ) 相談者
30代の女性会社員です。社会に対するどうしようもない怒りと、悲しみを抱えています。それはジェンダーの格差です。
最近では、セクハラや性被害を告発した女性に、誹謗(ひぼう)中傷とも言えるような批判の声があがっていることや、電車の女性専用車両に対して、反対する男性たちが電車に乗り込んで騒ぎを起こしたというニュースに、強い怒りと悲しみを覚えました。
女性に対する差別的な発言(性的なこと、容姿や年齢に関することなど)は、日常茶飯事です。私はなるべく、そうした発言に対し、意見を言うようにしています。相手に合わせて、なるべく効果的な言い方もするように気をつけています。
しかし、理解されないことも往々にしてあります。男性から「だから君はかわいくない」「悪気はないんだからいいじゃない」などと言われたこともあります。そう言われると、正直、馬鹿らしいとしか感じません。自分の意見が相手に必ずしも伝わるわけではない。それは理解しているので、しょうがないとも思います。
周囲からは「いちいちそんな人、相手にしなくていい」「どうせ日本は変わらない」「あんまり深く考えないほうがいい」とも言われます。しかし、セクハラや性被害以外にも、家事育児の問題や賃金格差など、日本が抱えるジェンダーの格差が是正される兆しがない現状を鑑みると、どうしてもやりきれません。私と同じような思いをしている女性が周りにはたくさんいる分、余計に見て見ぬふりはできません。このやり場のない怒りや悲しみはどうすればいいのでしょうか。上野千鶴子先生、ご回答をお願いいたします。
回答者 社会学者・上野千鶴子
はい、お気持ちはよぉ~くわかります。この欄の4人の回答者のうち、上野にご指名いただいた気持ちもよぉ~くわかります。ジェンダー格差と言わずに、ハッキリ「性差別」と呼びましょう。格差には容認可能なものもありますが、差別は不当だからです。
セクハラや性被害以外にも、家…