原子力規制委員会は26日、再稼働をめざす日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)が新規制基準に適合すると認める審査書を正式決定した。新基準への適合は8原発15基目。再稼働には、今年11月の運転開始40年までに運転延長など二つの認可を得るほか、茨城県や東海村、周辺5市の同意も必要になる。
東海第二は、東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉(BWR)で、首都圏にある唯一の原発。周辺の30キロ圏には全国の原発で最も多い約96万人が住む。
規制委はこの日、7月に示した審査書案に対して寄せられた1259件の意見を公表。「首都圏にある東海第二は事故を起こしたら取り返しがつかない事態になる」といった意見があった。ほかに4938人分の署名が提出された。
審査では、資金繰りが厳しい原電が1740億円の追加の安全対策費を確保できるかが焦点の一つになった。大株主の東京電力ホールディングスなどが支援を表明したが、実質国有化された東電が資金支援することについて、「福島第一の廃炉もあり、他社への資金援助など言語道断」などといった批判も寄せられた。
再稼働には、法令で定める40年の運転期限である11月27日までに、安全対策の詳しい設計を記した工事計画と20年間の運転延長の二つの認可を得なければならず、審査は終盤にある。原電によると、防潮堤など再稼働に必要な工事の完成は2021年3月を見込む。
一方、30キロ圏内にある周辺14市町村は避難計画作りを義務づけられているが、策定は一部しか進んでいない。避難先の確保など課題が山積している。(小川裕介、川田俊男)