女子の入学者数を抑えるため、一律に入試の得点を減点していた東京医大問題。表だって男女差別を認める人は少ないのに、何が「コンクリートの天井」となり、女性を阻むのか。
宋美玄さん(産婦人科医)
性別や国籍への差別は存在するけれども、点数は裏切らないと思って育ちました。コンクリートの天井があるのもわかっていたけど、それでも女性でも、勉強すればなれるのが医者だと思っていました。それだけに、裏切られたことがショックです。
得点操作に理解を示す医者がいますが、容認しているわけではないと思います。限られた人数での仕事に疲弊し、無力感から現状を変えられないと感じている。今の状態を諦めての発言だと思います。
20代のころの私も、24時間態勢の産科医療の現場で働きながら、「産休や育休による人材減少を防ぐには、女性の医者は1割ぐらいに抑えた方がいい」と思っていました。周りはみな仕事と生活で燃え尽きていました。毎日降りかかってくる仕事を前に、「きれいごとを言っている場合じゃない」と考える気持ちはよく分かります。
しかし健康面での「弱者」が来…