土砂崩れで36人が亡くなった北海道厚真(あつま)町の山あいで、尾根が約500メートル滑り落ちて日高幌内川をふさぎ、土砂ダムとなっていることがわかった。地すべりの研究者9人が29日、調査に入った。
町北東の幌内地区。国土交通省によると、尾根は林をのせた巨大な塊ごと約500メートル滑り落ち、川をせき止めた。700~800メートルにわたるとみられる。研究者らは動いた尾根を見上げ、「これまで見た最大級の規模だ」と話した。川をふさいだ場所は高さ40~50メートルの山になっており、乗り越えて上流側へ進むと、行き場をなくした川の水がたまっていた。
町によると、下流の幌内地区は40世帯。4人が地震で亡くなり、100人ほどが避難している。
土砂ダムは巨大で、決壊のリスクは差し迫っていないとみられるが、国交省北海道開発局は今月中旬、土砂の動きなどを監視するためカメラと水位計を設置した。土砂ダムにせきとめられ、上流部の水面は10日間で約1・5メートル上昇。気象庁も27日、大雨を警戒し、下流部に雨量計を設置した。
調査した石丸聡・日本地すべり学会北海道支部長は「雨で増水し、土砂や流木を下流へ押し流す危険はある」と話した。(中山由美)