地震で線路が損傷し運休が続いているJR日高線苫小牧―鵡川間(30・5キロ)について、JR北海道は21日、年内にも復旧させる方針を明らかにした。道内の鉄道が続々と運行を再開するなか、同区間だけは復旧の見通しが立っておらず、地元住民からは「このまま廃線になるのでは」との懸念が出ていた。
この日、新ひだか町であった日高町村会臨時町長会議で、JR北の綿貫泰之常務が答えた。JR北によると、同区間は震源地に近く、これまでの調査でレールがゆがむ「軌道変位」が15カ所、3~27センチの橋桁のずれが3カ所見つかった。今月中に調査結果をまとめ、復旧工事と耐震補強工事に取りかかる。
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工期は2カ月程度かそれ以上かかる見込み。復旧費用は、国や自治体が半額を補助する鉄道軌道整備法の適用を求める。会議終了後、取材に応じた綿貫常務は「ご心配をおかけして申し訳ないが、年内には復旧できるようめざしたい」と話した。
日高線苫小牧―鵡川間は、JR北が「単独では維持困難」とした13線区の一つ。6月にまとめた経営再生案では、国や地元自治体の財政支援を受けながら存続をめざす方針を示した。
ただ、同じ日高線の鵡川―様似間は、2015年の高波による土砂流出で不通となった後も復旧されず、JR北が廃線の方針を決めた。このため、地元では「苫小牧―鵡川間もなし崩し的に廃線になるのでは」との懸念が出ていた。(深沢博、斎藤徹)