イタリア銀行協会のジョバンニ・サバティーニ事務局長に、2008年9月のリーマン・ショック後の欧州債務危機で経営難に陥ったイタリアの銀行部門について、現状と先行きを聞いた。主なやり取りは次の通り。
――イタリアの銀行は不良債権を多く抱え、経営が不安視されてきました。
「不良債権の総額は2015年12月の3600億ユーロ(約48兆円)から今年6月には2320億ユーロ(約30兆円)になり、急速に減っている。本来のリスクは、総額から貸し倒れ引当金を差し引いた数字で見る必要があるが、その数字でみても1970億ユーロ(約26兆円)から1040億ユーロ(約14兆円)になった。イタリアの銀行の不良債権処理の努力は大きい。健全性は増している」
――融資全体に占める不良債権の比率は、ユーロ圏の平均(今年3月末で4・8%。対象は欧州中央銀行〈ECB〉が監督する大手銀行)よりもまだ高いのでは。
「イタリアの銀行の不良債権比率は今年6月で12・2%だが、我々の見通しでは21年12月に6・1%に下がる。この見通しより早く進むかもしれない。実際、16年に我々が出した見通しより不良債権処理は早く進んだ。不良債権問題はすでに対応が取られており、今後数年間で解決できる」
――イタリアの銀行が不良債権を多く抱えた理由は。
「リーマン・ショック後、欧州の危機は米国と違う形で広がった。欧州では08~10年の第一段階では、アイルランドやドイツなどの銀行が経営危機に陥り、公的資金が注入された。しかしイタリアの銀行への影響は小さかった」
「しかし11~12年に欧州債務危機になってからはイタリアの銀行にも問題が起きた。イタリア政府は巨額の債務を抱えているため市場から狙われた」
「(イタリアの国債価格が下が…