安倍晋三首相は2日午後、内閣を改造する。厚生労働相には岸田派の根本匠氏、地方創生・規制改革・女性活躍推進担当相に二階派の片山さつき氏を起用。総裁選で首相と争い、善戦した石破茂・元幹事長の派閥から、元検察官の山下貴司氏を法相にあてる。入閣待機組を多く処遇し、初入閣は安倍政権で最多の12人。同日夕には第4次安倍改造内閣が発足する。
内閣改造・自民役員人事タイムライン
二階派の吉川貴盛氏が農林水産相、桜田義孝氏は五輪担当相に起用。首相の出身派閥である細田派からは文部科学相に柴山昌彦氏、国家公安委員長に参院の山本順三氏をあてる。竹下派の渡辺博道氏は復興相、麻生派の原田義昭氏は環境相とする。
ほかに、麻生派の岩屋毅氏を防衛相、無派閥の石田真敏氏を総務相に起用。岸田派からは宮腰光寛氏が沖縄北方相、平井卓也氏はIT担当相とする。
麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官、河野太郎外相、世耕弘成経済産業相、茂木敏充経済再生相、石井啓一国土交通相は続投。菅氏は拉致担当相を兼務する。
根本氏は第1次安倍内閣で経済財政担当の首相補佐官を務めた。首相に近く、第2次内閣では福島県出身として初めて復興相に就任した。片山氏は女性で唯一の入閣となる。
石破派の山下氏は衆院当選3回の若手。改造前は法務省と内閣府の政務官を務めており、異例の登用だ。首相は総裁選の地方票で伸び悩み、沖縄県知事選で与党系候補が敗北したこともあり、石破氏側近の登用で融和をアピールし、批判をかわす考えとみられる。
自民党役員人事では、高村正彦副総裁が退任し、後任は置かない。2日午前の臨時総務会で二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長、加藤勝信総務会長、甘利明選挙対策委員長の人事を承認。森山裕国会対策委員長と萩生田光一幹事長代行の続投、組織運動本部長に山口泰明氏、広報本部長に松島みどり氏を決めた。党憲法改正推進本部長に下村博文氏、総裁特別補佐に稲田朋美・元防衛相を起用する。
首相は2日午後、山口那津男公明党代表と与党党首会談を開き、組閣本部を設置。同日夜に首相は記者会見を開く。