安倍晋三首相は2日に行う自民党役員人事と内閣改造で、党四役の選挙対策委員長には甘利明・元経済再生相、総務会長に加藤勝信・厚生労働相をあてる方針を固めた。党憲法改正推進本部長には下村博文・元文部科学相を就ける。自民党憲法改正案の早期提出を見据えた布陣といえる。
甘利氏は首相の盟友で麻生派に所属。党総裁選で首相陣営の事務総長を務めた。論功行賞で重要ポストを検討したが、2016年1月に現金授受問題で経済再生相を辞任し、あっせん利得処罰法違反などの疑いで告発され、東京地検が不起訴処分(嫌疑不十分)とした経緯もあり、選対委員長に落ち着いた。
加藤氏は総裁選の対応が衆参で分かれた竹下派に所属。首相のもとで官房副長官を務めるなど側近の一人だ。下村氏は細田派で、首相に近い。憲法改正案を議論、了承する機関のトップに首相側近をあてることで、議論の加速を促す考えとみられる。
すでに固まっていた二階俊博幹事長と岸田文雄政調会長のほか、森山裕・国会対策委員長と萩生田光一幹事長代行を続投させる。
内閣では麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官、河野太郎外相、世耕弘成経済産業相、茂木敏充経済再生相、石井啓一国土交通相を続投させる。初入閣組は二階派から片山さつき氏、首相に近い柴山昌彦氏、無派閥の石田真敏氏、参院細田派の山本順三氏が固まった。西村康稔、野上浩太郎の両官房副長官は続投する。
総裁選で善戦した石破茂・元幹事長陣営をどう処遇するかも焦点だ。首相陣営から閣僚辞任を迫られたと明かした斎藤健農林水産相の交代は固まっている。石破氏が両陣営の想定を上回る票を得た上、総力を挙げて臨んだ沖縄県知事選では野党系候補に大差で敗北。石破陣営側の登用で党内融和を狙うかどうかに注目が集まっている。
党役員人事は2日午前、内閣は午後に発表され、皇居での認証式を経て第4次安倍改造内閣が発足する。首相は夕方に記者会見して、今後の政権運営方針について説明する。