働き方改革関連法で企業が求められる「同一労働同一賃金」をめぐり、派遣社員の賃金水準の決め方の議論が難航している。ほかの非正社員と違って給料を払うのが実際に働いている会社ではなく、派遣会社のためだ。法律には二つの方式が盛り込まれており、厚生労働省は2日、一方の具体案を初めて示したが、一筋縄には進みそうもない。
同一労働同一賃金は、正社員と非正社員との不合理な待遇差の解消をめざす制度だ。非正社員はパートや有期雇用、派遣社員などで、厚労省によると、派遣社員は2017年6月時点で約156万人いる。
法律が賃金水準の決め方の原則と定めているのが、「均等・均衡待遇方式」と呼ばれる仕組みだ。派遣会社が、派遣先の正社員の待遇と比べて派遣社員の賃金を決める。
だが、派遣社員は派遣先がたびたび変わるため、この方式では職場が変わるたびに賃金が上下しかねない。派遣会社にとって、管理の負担も重くなる。
このため例外として、派遣会社が、労働者の過半数で組織する労働組合などと協定を結べば、賃金などの待遇を決められる仕組みも示されている。ただし、派遣社員の賃金が「同種の業務で働く一般労働者の平均額を下回らない」という条件を満たす必要がある。経験や能力に応じて上がる賃金体系も協定で整える。これなら派遣先が変わっても賃金が変わりにくい。
問題は、この「一般労働者の平…