訪日外国人客の増加に対応するため、名古屋市は観光施設のキャッシュレス化や公園トイレへのトイレットペーパー設置を検討する方針を示した。施設を使いやすくし、街の魅力を高める狙いがある。
市によると、市が管理する名古屋城や東山動植物園などではクレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス(非現金)での入場ができない。訪日客らが別のレジャーを選ぶこともあり、試算では市の損失額は30億円に及ぶという。
このため市は、25日に開かれた市議会本会議で、今年度中に名古屋城などでキャッシュレス決済の導入実験を始めると表明。近くまとめる次期観光戦略でも、施設のキャッシュレス化を盛り込むという。
一方、市内591公園に市が設置する826棟のトイレでは、東山動植物園や徳川園などの有料施設内を除いて紙が置かれていない。過去に名城公園のトイレなどで置いたことがあったが、盗まれたりホルダーが壊されたりしたため、置くのをやめたという。
訪日客らへのおもてなしで「快適なトイレ環境の整備を」と市議が訴えたところ、市側は、市中心部の公園のトイレで来年度から試行的に紙を置く方針を表明した。トイレ1基につき約3万円のホルダー設置費が必要といい、どの公園に置くかは今後検討する。(関謙次)