今年上半期(1~6月)に全国の警察が摘発した児童ポルノ事件は1423件で、過去最多だった。年間で過去最多の2413件となった昨年の同期に比べて281件多かった。警察庁が4日発表した。2014年施行の改正児童買春・児童ポルノ禁止法で、罰則が新設された単純所持容疑の摘発が急増したのが要因とみている。
改正法は写真や動画を提供する目的で所持するだけでなく、性的な好奇心を満たす目的で所持した単純所持も処罰対象にした。単純所持を含む「所持等」は今年上半期の摘発数は393件で、前年の31件を大幅に上回った。うち338件は国内最大規模とみられる児童ポルノDVDのネット販売店を警視庁が摘発した事件だった。
子どもの裸を撮影する「製造」の摘発は38件少ない686件、「提供・公然陳列」は43件減の344件だった。
被害が判明した子ども615人のうち、中学生と高校生が約7割を占めた。自ら撮影した「自撮り画像」を送ってしまったのは240人で約4割を占めた。
一方、SNSを通じて何らかの犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもは856人。昨年より63人少ないが、高校生は19人増えた。
SNSを使って被害に遭った子どもで、有害情報を閲覧できないようにするフィルタリングの利用の有無が判明したのは740人。うち、85・5%の633人はスマートフォンなどの契約時から利用していなかった。容疑者と会った子ども702人の理由は「金品目的」と「性的関係目的」を合わせると4割を超えた。
被害に遭った子どもが使っていたSNSで最も多かったのは、短文投稿サイト「ツイッター」で342人(前年同期比15人増)。学生限定のチャット型交流サイト「ひま部」94人(同1人増)、無料通信アプリ「LINE」42人(同20人減)、チャットアプリ「マリンチャット」38人(同22人増)などだった。(小林太一)