世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ、長崎県南島原市の原城跡(国史跡)で、市が文化庁に無断で二ノ丸の一角に砂利を敷いて整地していたことがわかった。駐車場と勘違いした観光客が車をとめることも多く、文化庁や県が是正を求めている。
市世界遺産推進室によると、今年5月、本丸の崖面崩落を防ぐ工事用の作業スペースとして、二ノ丸の一角約300平方メートルに砂利を敷いて整地した。国史跡の現状を変更する場合、文化財保護法にもとづき文化庁の許可が必要だが、市はこの手続きをしていなかったという。9月下旬、市の史跡原城跡・日野江城跡専門委員会が指摘した。県は市に対し、改変の経緯や改善策などについて文化庁に報告するよう求めている。
市世界遺産推進室の担当者は「もともと砂利もあった敷地で、平坦(へいたん)にする程度なら許可は必要ないと解釈していた。観光客への周知も十分でなかった。国の指導に沿い、速やかに対応したい」と話している。
原城は、禁教初期の1637年にキリシタンが起こした「島原・天草一揆」の主戦場となった場所。1938年に国史跡に指定された。(堀田浩一)