皮膚の病気「乾癬(かんせん)」について知ってもらおうというイベントが5日から、東京ミッドタウン(東京都港区)で開かれている。初日は、昨年、乾癬であることを公表したモデルの道端アンジェリカさん(32)が登壇。「病気のことを知ってもらえると、患者さんも日常が過ごしやすくなる」と呼びかけた。
乾癬は、皮膚が赤くなり、後に白いかさぶたのようになってはがれ落ちる。ストレスなどが引き金になり発症するとされる自己免疫疾患の病気。他人にうつることはないが、響きから「感染」を連想させ、うつると誤解されることもある。若い女性の発症も多く、他人からどう見られているかを気にして、精神的負担も大きい。国内に数十万人の患者がいるとされる。
道端さんは6年ほど前に肌の異常を感じ、2年ほど前に全身に乾癬の症状が広がった。トークコーナーでは、モデルという職業柄、赤くなった肌を見せたくないと、思い悩んだことなどを振り返った。公表後、多くの励ましのメッセージが寄せられた。「一人じゃないと思えたし、誰かに相談して前向きな心で向き合っていった方がよくなると思う」と語った。
トークには、乾癬に詳しいNTT東日本関東病院の医師、五十嵐敦之さんや乾癬の普及啓発に取り組む団体の山下織江さんも参加した。山下さんは「乾癬の認知度はまだ低い。ほんの少しでも知ってもらえれば患者は明るい気持ちになれる」。五十嵐さんは「乾癬はうつらないなど、病気について正しい知識を持ってもらうことが大切だ」と話した。
会場では、患者の悩みを表現した作品として、電車の中やオフィス、美容室など、日常の生活の場面を白色の人形を置いて再現。人形は特殊な塗装がしてあり、フラッシュを使って撮影すると、乾癬をイメージさせる模様が浮かび上がる。
頭部に症状がある山下さんは、美容室について「以前はふけのように皮膚がはがれ落ちてきて、行くのがとてもつらかった。ヘアスタイルを楽しむ気分になれなかった」と回想。勇気を出して美容師に乾癬だと伝え、感染しないと説明しても、一度気まずい雰囲気になると、その店に再び行く気になれず、美容室を転々としたことがあった、という。
東京ミッドタウン地下1階。6、7日は午前11時から午後9時まで。入場無料。道端さんのトークコーナーは7日も予定されている。問い合わせはイベント事務局(03・4531・0212)。(戸田政考)