性暴力を受けた女性の救済に尽力するなどし、ノーベル平和賞の受賞が決まったナディア・ムラド・バセ・タハさん(25)。だが、活動に取り組んできた地域では、女性の拉致などが絶えないのが現状だ。被害根絶への道のりはまだ遠い。
ムラドさんの功績をたどる
紛争下の性暴力根絶に尽力 ムクウェゲ医師とムラドさん
ムクウェゲ氏とムラド氏にノーベル平和賞 性暴力と闘う
「世界中の性暴力に遭った人たちと共有」
イラクの少数派ヤジディ教徒のナディア・ムラドさんは、自身が過激派組織「イスラム国」(IS)から受けた性暴力を国際社会に告発してきた。5日、ロイター通信に「この賞をヤジディ教徒や全てのイラク人、少数派、世界中の性暴力に遭った人たちと共有する」との声明を出した。
イラク北部の避難民キャンプに住む兄のフズニさん(37)も5日、朝日新聞の取材に、「すべてのヤジディ教徒とイラクにとっての誇りだ。妹の受賞で、国際社会のより多くの関心が集まるだろう」と話した。
ムラドさんは2016年9月、国連本部での演説で、各国代表にこう問いかけた。「首の切断、性奴隷、子どもへのレイプ。これらの行為に突き動かされないのであれば、いつ行動するのですか? 私たちにも生きる価値がある」
ISによるヤジディ教徒への迫…