米国の長期金利がほぼ7年ぶりの水準まで上昇している。株安やドル高を招きはしたものの、米経済の成長加速を反映したとの見方が強い。ただ、米景気回復の持続性を疑う声もある。
米債券市場では4日、長期金利の指標となる10年物米国債の利回りが一時、年3・2%を超えて上昇(国債価格は下落)。2011年5月以来の水準となった。
きっかけは3、4両日に相次ぎ発表された労働市場や景況感をめぐる指標だ。市場の想定を上回る米経済の力強さが示された。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのマーク・カバナ氏は「金利上昇は米経済の改善に伴う健全な動きで、必ずしも金融市場を脱線に向かわせるものではない」と話す。
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策をめぐっても「今後数年間で予想される利上げの道筋が強固になった」(米金利ストラテジストのジョン・ヒル氏)との見方が出ている。
一方、急な金利上昇を警戒する見方から、4日の米株式相場は下落。大企業でつくるダウ工業株平均は一時、前日比350ドル超下げた。金利上昇で打撃を受ける恐れがある住宅関連の銘柄で下げが目立った。住宅市場が落ち込むと、実体経済に大きく影響する。
最近の米経済の勢いは、トランプ政権の大型減税による底上げ効果も大きい。金利ストラテジストのプリヤ・ミスラ氏は「財政による刺激がはげ落ちていけば、高金利をやりくりするのは大変になる」と話す。(ニューヨーク=江渕崇)