3日に発表された今年のノーベル化学賞は、バイオ燃料や医薬品などの生産に役立つ「酵素」や「抗体」を効率よくつくる技術に贈られることが決まった。なにやら難しそうなこの技術。実はさかのぼること1901年、第1回のノーベル医学生理学賞の候補だった北里柴三郎博士の業績を、現在の洗練された治療法としてよみがえらせたものだ。
北里さんはマウスに破傷風菌の毒素を薄めて注射し、この毒素に対する抗体をつくらせ、その抗体を含んだ血清をほかのマウスに注射すると、致死量の毒素でも死ななくなることを見つけた。この「血清療法」をもとに、毒蛇にかまれた人の治療法などを開発した。
だが、課題が残された。ウマやウサギなど人間以外の動物の血清を人間に注射すると、ショックを起こす恐れがある。特に2回目以降は危険とされ、同じ動物のものは1回しか使えない。また、血清の中には目的の抗体以外の様々な不純物が混じっている問題もある。
この問題を解決したのが、今回…